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ツアー・オブ・ジャパン 2025 第5ステージ 綿半 信州飯田ステージ<レースサマリー>

⽇時:2025年5⽉22⽇(木曜⽇)
天候:晴れ28℃  
来場者数:20,000人
ステージアンバサダー:福島晋一
ホームステージチーム:JCL TEAM UKYO

底知れぬJCL TEAM UKYOのチーム力
飯田の難コースを制したシモーネ・ラッカーニが総合リーダーの座につく
  

ツアー・オブ・ジャパン後半戦の始まりとなる大会5日目の綿半 信州飯田ステージ。同時に総合優勝争いの本格的な始まりを告げるステージでもある。オープニングラップ後に1周12.2kmの周回コースを9周する120.9kmは起伏に富み、サバイバルレースになるのが常だ。
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1周目に飛び出したテグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュアランス)、フランセスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ)、リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ X ボディラップ)の3名が先行すると、メイン集団はこれを容認。タイム差は最大で3分25秒まで広がる。
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この日3度設定される山岳賞ポイント(KOM)は、登坂の難度が高いため先頭通過には7ポイントが与えられる。逃げに入ったバッサイカンが2周目と5周目に設定された山岳賞を連続で先頭通過。山岳賞ジャージを着るニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)まで暫定で1ポイント差にまで迫る。
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6周目、なおもペースの上がらない集団からケイン・リチャーズ、カーター・ベトルス(共にルージャイ・インシュアランス)、ミゲル・ハイデマン(レンベ・ラド・ネット)、ダヴィデ・バルダッチーニ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)の4名が飛び出し、先行する3名に追いつく。

この日最後の山岳賞が設定される7周目に突入した時点で先頭7名とメイン集団とのタイム差は44秒。数を揃えるルージャイ・インシュアランスはバッサイカンに山岳賞ポイントを取らせようと一丸となって逃げグループを牽引する。
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しかし後方のメイン集団から飛ぶような登坂を見せたガリッボがKOM直前でバッサイカンを追い抜き、先頭通過を果たす。バッサイカンは山岳賞ジャージ獲得を目前で失うことになった。

なおもJCL TEAM UKYOの猛攻は止まらない。集団から再び飛び出したリチャーズやウォルシュを単独で追いかけたのはシモーネ・ラッカーニ。チームメイトで総合リーダーのアレッサンドロ・ファンチェルから48秒遅れの総合14位につける彼は、8周目の登坂で先行する2名を抜き去り、単独先頭でKOMポイントを通過する。総合リーダーチームの攻撃に後手を踏んだ集団からは、マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が下りで単独で飛び出し、ラッカーニに追いつく。
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先頭2名で迎えた最終周回。直前のツール・ド・熊野の総合優勝者であるスチュワートはこの時点で44秒遅れの総合6位。後方にチームメイトで総合リーダーのファンチェルがいるラッカーニは、先頭交代に加わらず、スチュワートにプレッシャーをかける。
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メイン集団からは組織立った追走の動きは生まれず、勝負は2人によるマッチレースに持ち込まれた。残り300mでラッカーニが仕掛けると、1周以上を先頭固定で走ったスチュワートに追う足は残っていなかった。2秒差をつけてラッカーニがステージ優勝。19名まで人数を減らしたメイン集団は47秒遅れでフィニッシュラインに入っている。
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この結果、ボーナスタイムを獲得したラッカーニが総合でもトップに立ち、チームメイトのファンチェルからグリーンジャージを引き継ぐことになった。いなべステージに続き、ここでもJCL TEAM UKYO所属選手の個々の力の高さが浮き彫りになる。総合首位にラッカーニ、9秒差の総合3位にファンチェル、44秒差の総合5位にガリッボがつけ、それぞれグリーンジャージ、ブルージャージ、レッドジャージに袖を通している。
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不思議なことに新たなるステージ優勝と3賞ジャージ独占にも関わらず、チームに祝賀ムードはなかった。イタリア人選手たちが切磋琢磨するチームでは「どう」勝つか、ではなく「誰が」勝つか、が意味を持つかのようだ。

一方で敗れたスチュワートはさっぱりとした表情でこう語る。
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「今日はバルダッチーニと共に攻撃的なレースをするプランでした。残り2周でコンティがスプリントに自信があると言ってきたので、それを合図に私は攻撃に転じました。ラッカーニに追いつけることはわかっていましたが、もっと遅くに追いつくべきでしたね。チームメイトがリーダージャージを着ていたから、ラッカーニが前を引かないことはわかっていました。だから最後のKOMの終盤に追いついて、共に同じくらい疲弊した状況に持っていければ勝負できたかもしれない。しかしJCLはとても強い。彼らは今週本当に良いレースをしています」

今大会唯一のプロチームでは、「誰が」勝つかより「どう」勝つか、に重点が置かれている。
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明日は大会のクイーンステージとなる富士山ステージ。高い力を見せつけているJCL TEAM UKYOに対する他チームは、総合上位の3名が一枚岩とならないことに期待するしかない。圧倒的なチーム力を前に付け入る隙はそこにしかないが、力勝負となる富士山ステージでは心理的なレース戦略が有効に作用するかは未知数だ。いずれにせよ、霊峰富士でツアー・オブ・ジャパン2025の大勢が決することになる。
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ステージ優勝・個⼈総合時間賞(グリーンジャージ) 
シモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO)のコメント:

「今日はレースの終盤に自分で勝負に出て、グリーンジャージを獲得できました。明日は富士山の最難関ステージ。ジャージを守るベストな走りができるか、私とチーム双方が試されることになります。私だけでなく、チームメイトがこのジャージを守れればいいと思います。ジャージを東京で着ることは大きな目的ですし夢でもあり、このレースで勝ちたいという思いもありますが、まずは続くステージのことを考えることにします。そう簡単なステージにはならないはずです」

個⼈総合ポイント賞(ブルージャージ)
アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)のコメント:

「今日はアタックが多く、ハードな一日でした。レースの前半は私たちのチームがコントロールして、終盤にラッカーニと他の選手がアタックして飛び出していきました。重要なことはグリーンジャージをチームでキープしたことです。明日は短く厳しいステージになると思いますが、みんなでジャージを守れるように走ります」

個⼈総合⼭岳賞(レッドジャージ)ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)のコメント:
「レースはハードでした。チームとして噛み合わない部分もあったかもしれませんが、ステージを勝ち、リーダージャージをキープできたのは良かったと思います。明日のステージは自分には厳しすぎるので、チームに総合優勝をもたらせるように走ります」

新人賞(ホワイトジャージ)マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)のコメント:
「今日は不思議な展開でした。残り3周まではとても平穏だったのに、そこからペースが上がり爆発しました。2人が集団から飛び出してからは、集団内は協調がとれず、逃げ切られてしまいました。展開が生まれることを期待して何度かアタックをしましたが、差をつけるには最後の登りはちょっと短すぎたかもしれません」

文:小俣雄風太

第5ステージ 綿半 信州飯田ステージ順位
1位    シモーネ・ラッカーニ (JCL TEAM UKYO)3時間6分01秒
2位    マーク・スチュワート (ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+2秒
3位    ヴァレリオ・コンティ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+47秒

個⼈総合時間賞(グリーンジャージ)
1位    シモーネ・ラッカーニ (JCL TEAM UKYO) 11時間57分39秒
2位    マーク・スチュワート (ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)+2秒
3位    アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)+9秒

個⼈総合ポイント賞(ブルージャージ)
1位    アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)40pt
2位    岡 篤志 (宇都宮ブリッツェン)36pt
3位    シモーネ・ラッカーニ JCL TEAM UKYO)34pt 

個⼈総合⼭岳賞(レッドジャージ)
1位    ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)22pt
2位    テグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュアランス)19pt
3位    リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ X ボディラップ) 8pt

個⼈総合新人賞(ホワイトジャージ)
1位    マクサンス・プラス (ワンティ・NIPPO・リユーズ)
2位    ウィリアム・ヘファナン(シーキャッシュ X ボディラップ)
3位    橋川 丈(愛三工業レーシングチーム)

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