自転車ロードレースの魅せ方
NHKで放送されている「スポーツイノベーション」という番組内で「全日本選手権ロードレース」が取り上げられ、私も勉強のために視聴しました。
ちなみに、この番組は『スポーツに秘められた「勝負のあや」やアスリートの進化を、最新のデータ技術を駆使して解き明かす』という内容となっています。
ここ数年、世界最高峰の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」に於いても、GPS端末や各種センサーなどを用い、選手の走行データ(速度/パワーデータなど)や身体データ(心拍数など)、また、フィールドデータ(現在地点/天候/風速など)などが放送上でリアルタイムに提供され、より多角的な自転車ロードレース観戦が楽しめるようになってきています。
また、2017年大会からは「マシーンラーニング」が導入され、過去の膨大なレースデータを元にその日のレース展開などを分析し、フィニッシュに向かってどの様な形でレースが流れていくかを予測するサービスが公開されるまでになってきました。
但し、他のメジャースポーツに於いては「ゲームのデータ化・視覚化」はすでにかなりのレベルに達しているなかで、自転車ロードレースについては「レースのデータ化・視覚化」はまだまだ発展途上レベルだといえます。
一方で、自転車ロードレースというスポーツは、「目に見えないフィールド(1画面ではすべての選手を追えない)」が多々あり、また、現地観戦者はゲーム(レース)の大半を目視できないという、非常に観戦難易度の高い特殊なスポーツである側面もあります。
ですから、本来、自転車ロードレースというスポーツこそ、「ゲーム(レース)の視覚化・データ化」を積極的に取り入れるべきであり、ようやくそういった流れが世界的に生まれはじめたわけです。
今回、「スポーツイノベーション」という番組内で取り上げられた「全日本選手権ロードレース」は、パワーデータなどを効果的に使いつつ、自転車ロードレースの難解さを「数値的・視覚的」に分析して、今までになかった新鮮かつ非常にわかりやすい切り口で番組が作られていました。
「最新のデータ技術を駆使して解き明かす」という番組内容だけを見ると玄人向けの少々難しい番組なのかなと思いがちでしたが、実際は、ただ漠然と観ているだけでは理解することが難しい自転車ロードレースというスポーツを、非常にわかりやすく伝える有効な「魅せ方」があることを教えてくれた素晴らしい番組となっていました。
取り組むべき課題は多々ありますが、TOJとしても、この分野についてより良いものを追求していきたいと思います。