UCIの評価を考察
ツアー・オブ・ジャパン2025の終了から約4週間が経過しました。TOJ業務の繁忙期を乗り越え、ようやく落ち着いたこのタイミングで、UCI(国際自転車競技連合)から恒例の通信簿(最終報告書)が届きました。
まず、最終報告書の冒頭に書かれた総評は以下の通りです。
「⾮常によく運営されたイベントで、全員が⾃分の役割を理解していました。事前に提供された情報は⾮常に包括的でした。コースは⾮常に安全で、地形も変化に富んでおり、素晴らしいレースが展開されました。2024年のフィードバックに基づき、今年は給⽔ゾーンの修正を⾏いました。」
最近、TOJにはUCIから経験豊富なベテランのチーフコミセールが派遣される傾向があり、彼らの評価はTOJをはじめ国内のコミセールや大会を支えるすべての関係者の価値を示しています。例年のことですが、個別の問題や反省点は複数発生しているので、今後も満足することなく大会のアップデートに取り組んでいく所存です。
報告書の個別の内容は以下の通りです。
◯安全性
コースの安全管理は高水準で実施され、経験豊富なエスコートモトが配置されたことで、大会中のトラブルは一切発生しませんでした。2ステージで酷暑が予想されたため、25 km通過後の補給ゾーン延長(残り10km地点まで)を実施し、ライダーの安全を確保しました。医療チーム(レースドクターおよび救急車スタッフ)は、チーム到着時から大会終了まで常時待機し、万全の体制でサポートしました。
◯観客とコース
各ステージのスタート地点およびフィニッシュ地点には、毎日多数の観客が集まりました。山岳賞ポイント周辺や沿道の小規模集落でも盛大な応援が行われ、地域を挙げて大会を支えていました。第1ステージおよび第8ステージのスタート会場では、その他のカテゴリー向けイベントも実施され、集客に大きく貢献しました。すべてのステージは規定どおりの周回コースで設定され、安全面に配慮した運営がなされました。
◯チーム宿泊・食事
すべてのチームに提供された宿泊施設は十分なレベルを満たしており、各ステージの集合地に近い小規模都市のホテルを利用することで移動の負担を軽減しました。食事は和食と洋食を適度に組み合わせ、十分なボリュームが確保されていました。
◯テレビ制作
大会中は2台のテレビ中継用バイクが稼働し、映像クオリティは非常に高いレベルで維持されました。制作スタッフの熟練度も高く、運営体制は円滑でした。
◯主催者
主催者側からは速やかに必要情報が提供されました。ラジオツールは日本語・英語ともに非常に効率的に運用され、技術ガイドには宿泊施設一覧と送迎時間が明記されていました。チーム車両はすべてのチームに配車され、バス輸送も適宜手配されました。ドライバー向けのブリーフィングには全員が参加し、走行規則は厳守されました。唯一、周回コース上における25kmおよび20kmの距離表示板が設置されておらず、各周回ごとに距離表示がなされる必要がありました。