自転車の青切符反則金制度導入検討
8月以降、各メディアで「自転車の青切符反則金制度導入検討」のニュースが報道されています。
現在、法律の専門家や自転車関連団体の代表などによる有識者検討会が開催され、具体的な運用方法や導入時に予想される問題などが話し合われています。
今回は、「自転車の青切符反則金制度導入」について、改めて簡潔にまとめたいと思います。
◯現行の赤切符は罰が重すぎる&処理に時間がかかる
現在、自転車の取締りでは、刑事罰の対象となる「赤切符」が交付されています。しかし、取り締まりには時間がかかり、さらに、赤切符を切られた人にとって負担も大きいため、重大な違反以外では罰則が適用されるケースは少ないのが実情です。
◯自転車が関係する事故の割合は増え続けている
全国の交通事故発生件数は減少傾向にありますが、一方で自転車が関わる事故の割合は増え続けています。昨年発生した自転車が関係する重大事故の約7,000件のうち、約75%は自転車側の違反(前方不注意、信号無視、一時不停止など)が原因とされています。このような状況を受けて、警察庁は「青切符」による自転車の取り締まりを検討し始めました。
要するに、野放し状態だった自転車の交通違反を明確に取り締まるために、青切符の導入が検討されています。
以下、私自身が都内で「ドライバー」「サイクリスト」「歩行者」のそれぞれの立場として感じた現状を参考までに簡単にまとめました(あくまで私自身の主観です)。
◯ドライバーの立場
自転車ナビラインが道路上に引かれたことにより、車道を走行する自転車の数が以前に比べて増えてきました。道幅の狭い箇所などで詰まったり、追い越しの際に慎重に運転しなければならない場面も増えていますが、私自身がサイクリストであり(プラス欧州でも生活していたため)、自転車側の事情や気持ちをよく理解できるため、ルールやマナーを守って車両として走行する自転車に対してイライラすることはありません。一方で、まだまだ道路を逆走したり、交差点で飛び出してくる自転車を見かけることもあり、車両としての意識を持たない乗り手が多いと感じる瞬間は少なくありません。
◯サイクリスト(ロードバイクに乗る)の立場
自転車ナビラインが引かれ、自転車は車道を走ることが周知されたことから、昔のように「チャリンコのくせに車道走るな!」と怒鳴りながら幅寄せしてくる危険な車は圧倒的に減りました。一方で自転車通行可能な“歩道”を通る際などは、以前よりもしっかりと徐行し、場合によっては自転車から降りて歩くことも増えてきました。それでも、40年前の車道の走行環境を知る者からすると、排気ガスなども含めて現在は比べ物にならないほど走りやすくなったと感じています。
◯歩行者としての立場
長い時間軸で見ると、昔のようにベルを乱打しながら膝を開いてオラオラしながら走る自転車はほぼ淘汰されたため、歩道上の自転車リスクは減ったように錯覚するかもしれません。しかし、どこでも高速で走れてしまう電動アシスト自転車の登場により、サイレントに恐怖を感じる瞬間が非常に増えてきました。特に都内の歩道を歩く際は、自分が歩行者であるにも関わらず、バックミラーや歩行者用ウインカーが欲しいと感じるほどです(実際に歩きながら手信号を出すこともあります)。重量感のある電動ママチャリなどが歩道をスラローム競技のように豪快にすり抜けていきます。
以上、3つの立場についてまとめました。しかし、「ママチャリに乗るひとの立場」「自転車に乗るこどもの立場」「体が不自由な方、お年寄りの方の立場」などは含まれていませんので、本質を追求するためには、より広い視野を持つ必要がありますね。
また、危険なロードバイク乗りなどは一定数存在しますが、私自身が日常生活で実際に経験した危ない状況は、歩道や横断歩道上を走る一般の自転車(私服&ノーヘルで歩行者感覚で乗る自転車)がほとんどです。
青切符反則金制度の導入については、それぞれの立場や見方によってさまざまな意見があると思います。日本では長い間、「自転車は歩行者の延長」として扱われてきた事実があり、道路の構造を含めて短期間で「自転車は車両です」という価値観を一気に浸透させるのはなかなか難しいかもしれません。
現在、まずは以下の5つの違反行為に重点的に取り締まることが予想されています。
・信号無視
・徐行せず歩道を通行
・一時不停止
・酒酔い運転
・右側通行
この制度が導入された際には、内容をしっかり理解し、自転車の利用自体が悪影響を受けないようにフォローアップしていきたいと考えています。