リソース不足
正直申しまして、日々、世界中のロードレースを追っかけていると、自分自身の「リソース不足」というものを痛感する瞬間があります。
ちなみにここで言う「リソース不足」とは、「資源が不十分」という意味となり、お金やもの、人、時間などが必要量に達していないことをあらわす表現です。
そして、現状、自分にとっての最大の「リソース不足」は、間違いなく「時間」になります。
世界のあらゆるレースがライブ視聴可能となり、選手一人一人がSNSなどをつかって情報を発信し、さらに女子レースも世界中で急拡大しており、すべてをリアルタイムでチェックし続けるはもはや不可能な領域に到達しています。まさに嬉しい悲鳴です!
そしてこの「リソース不足」というのは、自転車ロードレース界全体でもいくつかの問題が顕在化しつつあります。
代表的なものを以下に挙げてみます。
◯審判問題
自転車レースの世界では「審判」は基本的にボランティアがベースとなります。それは世界最大の自転車レースである「ツール・ド・フランス」に於いても同様です。もちろん日当や手当の様なものは支払われていますが、基本的に皆さん本業を持っていてプロの審判ではありません。そんな中、世界中で国際レースの数は増える傾向にあり、今後質の高いジャッジができる審判問題は顕在化していくかもしれません。
◯ファンの時間
これは上記に挙げた私自身の「リソース問題」と重なります。自転車レースだけでなくて様々なスポーツが直面している問題の一つです。インターネットの発達により人類は起きている時間の多くをインターネットに繋がった端末の中で過ごしています。そこには有象無象の情報が溢れており、日々ユーザーの時間の奪い合いが展開されています。まとまった時間を消費するスポーツ観戦はタイパ(タイムパフォーマンス)社会に於いては不利なコンテンツであり、ツール・ド・フランスの様に毎日数時間を3週間も拘束するスポーツは見せ方を工夫する必要に迫られています(これにジロやブエルタ、他のレースも加わってきます…)。
現在、世界中で様々な自転車レースが生まれ、自転車チームも手軽につくれることから、レースとチームの数は増えるトレンドにあると感じています。
一方、お金がかかりリスクを含むスポーツであることから、選手数が底辺で飛躍的に伸びる状態には至っておらず、レースやチームという「箱もの」は増えているものの、その「中身」が追いついていない状態となっています。少し不動産の供給過多問題に似ているかもしれません。