ステージロケハン時に行うこと
約3週間に亘り実施してきた「ツアー・オブ・ジャパン2023」のステージロケハンも、残すところ最終ステージの東京のみとなりました。
今大会から村山新大会Dにディレクター職をバトンタッチしたこともあり、私自身は全てのステージをまわることはできませんでしたが、それでもリモート会議や報告書などの内容を通じて各実行委員会の皆様の熱い想いに触れ、特に4年ぶりの開催となる前半4ステージの皆様の復活開催に向けた強い意気込みを感じ取ることができました。
そんな本番レースを成功させるために非常に重要な取り組みの一つとなる現地ロケハンですが、ツアー・オブ・ジャパンの様に全8ステージあるステージレースですと、様々な理由により現地へ何度も足を運ぶことが難しかったりもします。
そのため、限られたロケハン時にいかに効率よく現地確認などを実施できるかが円滑な大会運営のカギになってきます。
ということで今回は、ステージロケハン時に実際に確認していくポイントや注意する点などを、重要な二点をピックアップして簡単にご紹介したいと思います。
各担当者の顔合わせなどについて
ツアー・オブ・ジャパンは、大会の各業務を年度ごとに公募する形を採用しているため、状況によっては経験値の浅い業者さんや担当者さんが新たに参画するケースがあります。経験豊かな人材による運営というのは大会全体の安心感につながる一方で、業務のブラックボックス化や、次世代の人材育成が滞る可能性が生じるので、常に新陳代謝というものを意識しておく必要がございます。これらは大会本部まわりだけでなく、各ステージの実行委員会内(ツアー・オブ・ジャパンはステージごとに実行委員会が設置されている)でも常に起こっている事象であり、まずは各担当者の顔合わせや情報共有、引き継ぎの進捗確認などが非常に重要な要素となってきます。ツアー・オブ・ジャパンは大阪から東京にかけて8つの開催地が存在していて、その中で多くの関係者が常に入れ替わりながら運営を続けているため(ステージレースというよりかは8つのUCIレースをまとめて開催している感じ)、「人をつなぐ作業」がマネージメントサイドの大切な仕事になります。
会場及びコース状況の確認などについて
一般公道を使用して開催する自転車ロードレースは、常に変化し続ける「街や道」と共存していかなければならない、開催難易度が非常に高いスポーツのひとつです。ぱっと見ではなにも変わっていない様にみえても、大会運営上では深刻な変化が生じているケースというのは少なくありません。非常に多くの人や車両が同時に移動していくため、宿泊施設や駐車場、安全かつ効率的な動線の確保、観戦用スペースや観戦手段の構築など、確認しなければならないことは文字通り山の様に存在しています。おそらく皆さんが「コースロケハン」と聞いて真っ先に想像するのは「コースの道路状況の確認」だと思いますが、それらは全体要素のごく一部だったりします。参加チームや観客の皆さんが気付くことのないこれらの確認調整業務が、安全かつスムースなレース開催を実現するために大切になってきます。正直、我々からすると、全てが専用につくられた施設(スタジアムやアリーナなど)で開催できる他の多くのスポーツがとても羨ましかったりします。但し、スタジアムやアリーナ型のスポーツではその地域の自然や街とスポーツが融合した美しい画を生み出すことはできませんので、誇りを持ってこのスポーツの開催を続けていきたいと思います。