ロード選手に必要な“もうひとつの刺激”「御殿場シクロクロス」参加レポート
@heizelwood先週末に「御殿場シクロクロス Supported by 湘南CX」に出場してきました。
コース上には50代どころか60代でも信じられないほど速いおじさま方がたくさんいて、「シクロクロスはまさに生涯スポーツだな」と感じた一日でした。
今回は、そんなシクロクロスに出場して感じた、ロード選手に必要な“もうひとつの刺激”について、簡単に考察してみたいと思います。
ロード選手がシクロクロスに出るメリット
シクロクロスはロードと違い、速度域が低くても運動強度は非常に高い種目です。
インターバルの連続、前走者をパスする際などのダッシュ、担ぎセクション、低速域でのバランス感覚などなど、心肺・神経・筋反応を同時に鍛えられる万能トレーニングなのです。
ロード選手が冬場にシクロクロスを走ると、次のような効果が得られます。
・ペダリングのリズム変化に強くなる(トルク変動耐性アップ)
・瞬発力とリカバリー力の強化(何度も踏み直せる能力)
・ハンドリングテクニックや体重移動能力の向上(滑る路面、段差、タイトターンなど)
・冬場の高強度運動継続(リフレッシュしつつフィジカルを強化)
つまり、シクロクロスに取り組むことで「走る筋肉」だけでなく、「走れる脳」を育てられる。冬場のロード長距離ペース走だけでは刺激できない領域を、短時間で叩き起こせます。
フィジカル面の違い:同じ脚でも、使い方が違う
ロードは、基本的に「持久筋の最大化」、つまり酸素効率と一定パワーの持続がベース。その上にインターバル能力を積み上げていくイメージです。
一方、シクロクロスは、「全身を使った瞬発・回復の繰り返し」。特に上半身や体幹の安定性が求められます。さらに、バイクを担いで走る、押す、飛び乗るといった動作が入るため、筋肉の使い方も多面的になります。
レース後、脚だけでなく上半身にまで“いい疲労”を感じるのは、まさに全身運動の証拠です。
なぜ今、シクロクロス出身のロード選手が強いのか?
近年、マチュー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールト、トム・ピドコックなど、シクロクロス経験者のスーパースターたちがロードでも無双しているのは偶然ではありません。
彼らはシクロクロスで培った、
・フィジカル面の強さ
・ペダリング技術
・コーナリング技術
・ポジション争いの激しさへの耐性
・爆発的な踏み直し力
・あらゆる路面変化への適応力
などをロードレースに持ち込んでいます。
つまり、「制御不能な状況でも最適解を瞬時に生み出す力」を体得しています。
基礎能力を上げたければオフロード種目を取り入れる
ロードレースが、よく言えば“洗練された戦略的団体種目”だとすれば、シクロクロスはより“原始的で野性的な個人種目”だと感じます。
でもその荒々しさこそが、選手の感覚を研ぎ澄ませ、バイクとの一体感を生み出し、結果的にロードレースで必要な各種能力を引き上げる絶好の機会に繋がるのだと思います。


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