集客分析
日本国内では最高クラス(UCI-HC)のワンデーレースとなる「ジャパンカップサイクルロードレース(於:栃木県宇都宮市)」が今年も盛大に開催されました。
土曜日のクリテリウム(宇都宮市大通り)は5万人、日曜日のロードレース(宇都宮市森林公園)は8万2,000人の観客が集まり、国内でも有数の盛り上がりをみせていました。
今年で27回目の開催を迎えた伝統ある大会ですが、その観客数の推移は大枠でみると拡大基調にあります。
一方で、その年ごとの観客数に若干の増減があるのも事実であり、今回はその変化要因について項目を挙げつつ考察してみたいと思います。
◯出場選手
どのスポーツイベントにも当てはまる内容ですが、出場する選手のバリューがそのまま観客数に直結するのは間違いありません。以下、集客力のある選手の特徴などを挙げてみました。
・競技力が高いだけでなく人間的な魅力を持っている
・来日回数が少なく希少性が高い
・例えば引退レースなど特別感がある
現状のUCI(国際自転車競技連合)ルールでは基本的にレース主催側に出場選手を選択する権利はなく、あくまでレース主催者は一定の基準に則って参加チームを選考した後は、チーム側が提出する出場選手リスト(エンロールメント)を待たなくてはなりません。
◯天候
屋内型の競技場を持つスポーツであれば試合当日の天候が集客に大きく影響を及ぼすことは少ないと思いますが、街や大自然をフィールドに変えて開催される自転車ロードレースは天候の影響をもろに受けてしまうスポーツのひとつといえます。天候によっては集客数が半減することもあり、将来的には荒天時の魅せ方などを積極的に研究していく必要があるといえるでしょう。
◯放送・配信
近年、モバイルデータ通信の環境改善などにより、中継車などの大規模な機器を使わない、インターネットでの配信技術を利用した「ライブ配信」が急拡大しています。国内の主要国際ロードレースの殆どが「ライブ配信」を実施しており、その結果、レース会場へ行かずに「配信観戦」を選択するファンも一部増えているとのこと。現状では、一時的にトレードオフの関係に陥っているものの、本来は相乗効果を生み出せる関係性であることから、「ライブ配信」と「現地観戦」の前向きな連携体制を構築していく必要があるでしょう。
◯その他要因
ほかにも他の大きなイベントなどと日程が重なってしまうことによる観客の減少というようなことも少なからず起きています。
自転車ロードレースというスポーツは、基本的に入場料収入を得られないビジネスモデルとなっているので、闇雲に観客数を追求する必要のない側面もありますが、一方で、経済波及効果などを算出する際にはやはり観客数の数字は大切な要素となってきます。
誰にどの様に観てもらって、それがどんな効果を生み出すのかをしっかりと考えつつプランを立て、その上でなにを目指すべきかを全体で共有していかなければなりません。