自転車ロードレースのコース特性
9月23日から30日までの8日間に亘りオーストリアのインスブルックで開催されていた「自転車ロードレース世界選手権2018」の全日程が終了しました。
メインイベントとなる男子エリートロードレースでは、38歳の大ベテラン、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)が優勝を飾り、世界チャンピオンの証である「アルカンシェル」を獲得しています。
ここまで同大会3連覇中だったペテル・サガン(スロバキア)は、4連覇を狙うべく苦手とされるコースに対してしっかりと準備を進めてきたものの、やはり獲得標高差4,681mという非常に厳しいコース特性には対応できず、残念ながらリタイアという結果に終わってしまいました。
ところで我々自転車ロードレース関係者というのは、つい、「今年のコースは◯◯だから◯◯選手向きのコースだ」といった感じで、コース特性とそれに対するレース展開や優勝候補選手などを当たり前に語ってしまうことがあります。
しかし、一般の方々の立場で考えてみると、「なぜ大会3連覇中だった選手がコンディションも悪くないのに突然完走もできない状況に陥ってしまうのだろう?」と疑問に感じてしまうかもしれません。
たしかに、他の競技で「その試合ごとに活躍できる選手とできない選手がハッキリと入れ替わる」なんていうスポーツはあまりないように感じます。
そこで、そんな特殊な競技である自転車ロードレースのレース展開や活躍できる選手を大きく左右してしまう「コース特性」というものについて改めて考察してみたいと思います。
◯獲得標高
上り区間のみで獲得する標高差の合計。この数字が距離に対して大きくなると難易度が高くなりヒルクライマーやパンチャーといったタイプの選手が有利になる。一方、スプリンターは完走すら危うくなってしまう。
◯上りの長さ
レース中に現れる一つの上り区間の距離が長いとヒルクライマーが有利になる。
◯最大勾配
急坂=ヒルクライマーというわけではなく、距離が短ければパンチャー向きになり、更にその回数が減ればスプリンターでもこなせてしまうこともある。
◯平均勾配
上りの距離次第ではあるが、距離が長く平均勾配がキツくなるとヒルクライマー向き。
◯ストップアンドゴー
平坦コースなどでコーナーが多くインターバルがかかりやすいコースでは純粋なヒルクライマーなどは厳しい状況に陥りやすい。一方、パンチャーやスプリンターといった加速力に優れた選手たちにとっては最高の環境となりやすい。
◯風
平坦で風が吹けば絶対的な出力値が高い選手(体重比の出力ではなく)が有利になる。一般的には大柄で筋肉量が多いルーラーやスプリンタータイプの選手が活躍する。
まだまだ細かくみていくとそれこそ無限に「コース特性」の要素を挙げられる気がしますが、パッと書いてみただけでもこれだけのバリエーションがあるわけです。
なにかもっと体系的にこれらを表現できる手段があると、一般のひとたちにとってもわかりやくなる様に感じます。