「公益財団法人日本スポーツ仲裁機構」仲裁事案の仲裁判断の骨子公開について
9月7日(金)18時過ぎに、「公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)」より、「JSAA-DP-2018-001号仲裁事案の仲裁判断の骨子」が公開され、その中の「事案の概要」に以下の様な内容が記載されておりました。
◆事案の概要(JSAA-DP-2018-001号仲裁事案の仲裁判断の骨子より)
本件は、2018年5月20日から27日までの間、公益財団法人日本自転車競技連盟主催の「UCI 公認国際自転車ロードレース『H』」(以下「本競技会」と いう。)に「A」の選手として参加した申立人が同月20日のレース後に実施さ れたドーピング検査(以下「本ドーピング検査」という。)を受け、同人の検体から世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という。)が公表する2018年禁止表国際基準に定める「S3.β2作用薬」であるビランテロール(Vilanterol)が検出されたため、同年6月19日に被申立人に対し、遡及的治療使用申請(以下「 本TUE申請 」と い う 。)を行ったところ、同年7月23日に被申立人のTUE委員会が下記の理由により本TUE申請を却下判定(以下「原判定」という。)したことから、原判定の取消し、及び本TUE申請の承認を求めて仲裁申立てをした事案である。
これを受けまして、当ブログに「ツアー・オブ・ジャパン大会ディレクター」としての見解を掲載させていただきます。
◯対象レース(ドーピング検査)について
まず、JCF(公財日本自転車競技連盟)は、該当期間(2018年5月20日から27日まで)に「UCI公認国際自転車ロードレース」を主催しておりませんが、開催期間に関する記述内容から「ツアー・オブ・ジャパン 堺ステージ」後に実施されたドーピング検査での事案だと推測されます(注:JCFはツアー・オブ・ジャパンの競技主管)。
◯対象選手について
自転車競技のロードレースのプロ選手
◯ドーピング検査結果について
2018年禁止表国際基準に定める「S3.β2 作用薬」であるビランテロールが検出される
◯現在までの流れについて
5月20日開催の対象レース後のドーピング検査に於いて禁止物質が検出される
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6月19日に対象選手側がTUEを申請(喘息薬として)
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7月23日にTUE委員会が対象選手によるTUE申請を却下
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対象選手側がTUE申請却下の取り消し及びTUE申請の承認を求めてJSAAに仲裁申立て
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9月7日にJSAAは同申立てを棄却
◯今後について
現状では、当該機関によるドーピング陽性判定などの正式な発表があったわけではなく、対象大会のリザルト変更などを含め、大会側として公式な対応策などを協議できる状況にはございません。尚、今後の処置などにつきましては、当該機関の判断に委ねる形となります。
※補足ですが、ドーピング検査を実施しているのはJADA(日本アンチ・ドーピング機構)であり、主催者はここに介入することも、正式な開示があるまでは内部情報にアクセスすることもできません。また、JADAが公式な発表を行うまでは、基本的にはJADAと対象選手間でのやりとりとなり、主催者だけでなく所属チームに対しても情報の開示義務などはございません。現状、JADAから正式な発表はなく、それより先に上記の様な形で「JSAA仲裁申立て」の情報だけが開示された状況にあります。繰り返しになりますが、今後の処置などにつきましては、当該機関の判断に委ねる形となります。
ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター 栗村修