知識継承
これまで「ツアー・オブ・ジャパン」で「ステージ2勝(2002年東京ステージ・2010年南信州ステージ)」と「ポイント賞獲得(2006年)」という素晴らしい実績を誇る、宇都宮ブリッツェンのキャプテン、鈴木真理選手が今シーズン限りでチームとの契約を満了するという発表がありました。
現在、鈴木真理選手は血管系の病気を患っており、10月に開催された「ジャパンカップクリテリウム」でポイント賞を獲得したことからもわかる通り「走りのポテンシャル」は高い状態を維持しているものの、出血を伴う怪我をすることができないことから、今季は基本的にロードレースへの出場を控えている状態が続いていました。
今後、症状が改善すれば選手活動を再開できるチャンスはあるとのことで、本人はまだ他チームでの選手復帰という可能性は諦めていない状態でもあります。
とはいえ、今年の12月に43歳を迎える鈴木真理選手にとっては、第二の人生に向けた準備を進める時期にも差し掛かってきており、経験豊富で若手の育成能力も高い日本のレジェンドライダーである鈴木真理選手の去就には多くの注目が集まっていました。
そんな中、先日栃木県宇都宮市にて開催された宇都宮ブリッツェンの「シーズンエンドパーティー」の会場内で、鈴木真理選手が進める新しいプロジェクトが発表されました。
その名は「TRUTH BIKE PROJECT」。
鈴木真理選手の名前の「真理(TRUTH)」からヒントを得たネーミングで、現在、宇都宮ブリッツェン傘下の育成チームで担当しているコーチ業をベースに、これまで培ってきた多くの経験を国内に於ける後進の育成に繋げていくという、業界全体でみれば素晴らしい発想のプロジェクトとなっています。
システム化が進んでいない業界には多くの弱点が存在するわけですが、そんな中でも「知識の継承」という要素が抜け落ちてしまっていると、業界全体が継続的な進化を手に入れることが非常と困難になってしまいます。
これまでの日本の選手たちというのは、皆、積み上げのない同じ位置からのスタートになってしまってわけで、鈴木真理選手の様な経験豊かな選手が指導者として食べていける環境が整っていけば、これからの選手たちはスタート位置が上がり、今後より多くの選手が「ツアー・オブ・ジャパン」の様な国際大会でも活躍できるようになっていくはずです。