必要なもの=お金
国内最大級のUCI公認国際自転車ロードレース「ジャパンカップサイクルロードレース(UCI-1.HC)」が、今年も栃木県宇都宮市に於いて盛大に開催されました。
25回記念大会となった今年は、土曜日の「ジャパンカップクリテリウム(於:宇都宮市街地)」が約50,000人、日曜日の「ジャパンカップサイクルロードレース(於:宇都宮森林公園)」が約85,000人と、共に過去最高の観客数を記録しました。
また、海外の一流選手たちからは「運営は非常に素晴らしく、特に直すべき点は見当たらない」といった言葉が発せられていました(もちろんイベントごとなので細かい改善点はヤマのようにあるはずですが…)。
他にも大会期間中にはイベントのクオリティーがすでに「ワールドツアーレベル」に達していることがわかる内容のコメントをいろいろな場所で聞くことができました。
近年、主催者側の努力により経費の圧縮が進み、同時に運営難易度の高い「サイクルロードレース」というコンテンツを開催するためのノウハウもより一層強化され、ある部分に於いては「他の分野へノウハウの一部を売れる」レベルまで主催者側の質は高まっているように感じます。
他のスポーツイベントやエンターテイメント系イベントと比較して、国内のメジャーサイクルイベントは費用対効果(特に集客数)が非常に高く、いわゆる「大手広告代理店」の力を借りずに本場のチームや選手たちから高い評価を得れる大会を実施できるようになったことは大いに評価されるべき事実だと感じています。
一方で、今年の大会の目玉選手だったファビアン・カンチェラーラ選手に、トークショーでMCが「今後、この大会が大きくなっていくために必要なことは?」と質問したところ、カンチェラーラ選手が迷わず「お金」と答えていたことがとても印象的でした。
かつて、自転車界の資金が潤沢だった時代に比べれば、現在の国内の各メジャーイベントの運営費はむしろ縮小している傾向にあります。
それでも、盛り上がり自体は向上し、他のスポーツコンテンツからも一目を置かれる規模となっているわけですから、「開催」することについては非常に「筋肉質」になってきているといえます。
しかし、カンチェラーラ選手が語った「お金」という部分については、いわゆる「圧縮できない予算=トップチームを呼ぶための資金」などのことであり、今後、「ワールドツアー開催」を実現するためには、「開催」するためのノウハウに加えて、「お金を集める」ノウハウ(スキル)をもっともっと身につける必要があるということなのでしょう。
ぶっちゃけ、現在の日本のマーケット(まだ殆どのひとたちが自転車ロードレースの詳細を知らない)を考えると、いまの大会予算を3倍、4倍に拡大し「ワールドツアー」を無理に開催したところで、優れた「費用対効果」を得られるかは疑問だったりもします。
時代の変化(ネガティブな)に対応する形で自ら「筋肉質」へと変貌し、生き残ってきたのが現在(均衡点)であるならば、規模を再度拡大していくためには、脂肪を落とすだけでなく、更なる筋力アップを行っていくための体力が必要になります。
次のフェーズとして、「お金集めのプロ」、もしくは、「ビジネスモデル創りのプロ」の力を借りなければならないのは明白といえるでしょう。