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栗村修のワールドツアーへの道

KURIMURA's Blog

自転車ロードレースに於ける五輪の位置づけ

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8月6日、7日に、リオオリンピックの自転車ロードレースが開催されました。

「ツアー・オブ・ジャパン」で奇跡のステージ優勝を飾った新城幸也選手は日本代表として男子ロードレースに出場し、厳しいサバイバルレースのなかで27位という素晴らしいリザルトを残し、2月の「ツアー・オブ・カタール」での骨折を完全に払拭するような驚異的な復活劇をみせてくれました。

そんな大きな盛り上がりをみせたリオオリンピックのロードレースですが、もともと自転車ロードレースの世界に於いてオリンピックのステイタスというものはそれほど高くなく、プロ選手たちは、クラシックレースやグランツールでの活躍を再優先にシーズンを戦ってきた歴史があります。

というのも、長いことオリンピックに於ける自転車ロードレースはアマチュア選手のためのレースであって、世界トップクラスの実力を持つプロ選手たちは大会そのものに出場できなかったからです。

プロアマオープン化となったのは比較的近代である1996年(アトランタオリンピック)からで、プロ選手が参加できるようになってから今回のリオオリンピックで6回目の大会となります。

ちなみに、プロアマオープン後の歴代オリンピックロードチャンピオンは以下の通りです。

1996年(アトランタオリンピック)パスカル・リシャール(スイス/プロ選手)
2000年(シドニーオリンピック)ヤン・ウルリッヒ(ドイツ/プロ選手)
2004年(アテネオリンピック)パオロ・ベッティーニ(イタリア/プロ選手)
2008年(北京オリンピック)サムエル・サンチェス(スペイン/プロ選手)
2012年(ロンドンオリンピック)アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン/プロ選手)
2016年(リオオリンピック)グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(ベルギー/プロ選手)

そうそうたる一流選手が並んでおり、プロアマオープン化してから20年の歳月が経ったいまは、自転車ロードレース界に於けるオリンピックのステイタスはクラシックレースなどに並ぶところまで向上してきているようにも感じます。

しかし、やはり「ツール・ド・フランス」のチャンピオンと比べるとまだまだその価値は低く、恐らくこの先も「オリンピックのロードレース」が「ツール・ド・フランス」に並ぶようなことはないのでしょう。

この様にみていくと、「レースの価値」というものはとても移ろいやすく、その評価は出場する選手たち自身のモチベーションや、それを伝えるメディアや応援するファンの「熱」が合わさって創りだされているように思います。

もちろん、一流の仕掛け人などが動くことによって、新規のレースでも数年で高いステイタスを得てしまう例はごく稀にあったりはしますが、しかし、通常は長い年月をかけて「レースの価値」というものは創りだされていくものです。

多くのステークホルダーが「最上のレース」と評価するようになるまでには、長い時間と不断の努力が必要であることは言うまでもありません。

それでも、現代には「積み上げたものが一瞬にして吹き飛ぶリスク」というものがあちらこちらに潜んでいます。

「良いレースを創る」ということは、もしかすると「割に合わない作業」をすることなのかもしれませんが、それでもやるからには常に「最上」を目指していかなければなりません。

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