ツアー・オブ・ジャパンのビジネスモデル
『ツアー・オブ・ジャパン』 の長期的な大命題として存在しているのが 『ビジネスモデルの構築』 です。
より正確に表現するならば、『国内の自転車ロードレース界全体のビジネスモデルの構築』 を先頭に立って進めなければいけない状況と言っても良いかもしれません。
これまでも何度かお伝えしてきたように、世界的にみた自転車ロードレースの主な 『収入源』 というのは、
・テレビ放映権料
・スポンサー料
・自治体などの大会誘致料(観光予算)
などが主な項目になっています。
また、近年アジアなどを中心に新たな地域で自転車ロードレースの開催が増えていますが、そういった地域での財源というのは、国や自治体などが持つ 『観光予算』 が主に使われるというパターンが少なくありません。
これまたこれまで何度かお伝えしてきたように、自転車ロードレースというスポーツが 『箱モノ=スタジアム』 を使わずに既存の大自然のなかで開催されるスポーツであることから、『観光資源=観光予算』 を多く持つ地域の宣伝に最適なコンテンツであるという部分が世界的にフォーカスされはじめているからです。
それでは日本国内で開催されているUCI公認国際ロードレースの財源はどの様になっているのでしょうか?
その多くは 『補助金&公共資金』 などに依存したカタチで運営されているのが実態です。
各レースの補助金への依存度には程度の差こそあるとはいえ、UCI公認国際ロードレースでレース開催に関する収支が黒字のレースというのは現状存在していません。
もちろん、『経済波及効果』 を算出し、その額が開催収支の赤字分を上回れば、広い意味では 『黒字』 と表現しても間違いではないのでしょうが、民間企業がビジネスとして自転車ロードレースを運営していくことを考えると、レース開催に関する収支を黒字化しないことには、多かれ少なかれなんらかの 『補助金(パトロン含む)』 に依存し続ける必要がでてきてしまいます。
UCIがレースオーガナイザー用に発行しているガイドブックをみても、『ビジネスモデル』 についての言及は決して多くはありません。
『UCI公認国際ロードレースを開催して食っているんだ』 という強者が現れる状況にならない限り、本当の意味でのプロ化はスタートできないのでしょう。
いま、『ツアー・オブ・ジャパン』 が取り組んでいることというのは、日本のみならず、世界的にみても前例のないビジネスモデルの構築作業と言っても過言ではないと感じています。
今後も多くのトライ&エラーを繰り返しつつ挑戦を続けていきたいと思います。