コミセールという業務
自転車ロードレースの世界では、「審判」 のことを 「コミセール」 と表現します。
しかし、正確にいうと 「コミセール」 の業務はいわゆる 「審判業務=レースコントロール」 だけではなく、大会運営全体にも関与しなくてはいけません。
UCI(世界自転車競技連合)から任命されてレースに帯同する 「チーフコミセール」 は、大会全体がUCIの規定通りに運営されているか?などを随時チェックし、何かあれば主催者側へ改善を求めるとともにUCIへ状況を報告する義務を負っています。
ここでいう 「UCIの規定通りに」 というのは、レースの競技的な面だけでなく、例えば、コース上に設置してある看板の状態や、各ステージのホテルへのアクセス状況、時には食事内容などにも関与しなければなりません。
チーフコミセールからの報告を受けたUCIは、その報告書を元にして、翌年以降の当該大会のレースグレードなどを決定します。
レース主催者からみれば、チーフコミセールという存在は単なる競技審判だけではなく、「レースの通信簿」 をつけるある意味での、教官、もしくは先生の様な存在ともいえます。
「UCI公認レース」 を謳う以上は、当然UCIが定めたルールを順守しなくてはなりません。
UCIが定めたルールの大半というのは、レースの本場、欧州で培われた 「経験」 をベースに創りあげられてきた内容が殆どです。
もちろん、チーフコミセールも各開催国の事情に合わせてルールを柔軟に適用してくれたりもしますが、それでも日本でロードレースを開催するには根本的に無理があるルールが多数存在しているのも事実です。
前向きな価値観を有するチーフコミセールと共に、国内で開催される国際レースの未来をしっかりと考えていかなければなりません。