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栗村修のワールドツアーへの道

KURIMURA's Blog

ワールドツアーの危機

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このブログのタイトルにもなっている「UCIワールドツアー」。

改めて「UCIワールドツアー」というものをご説明いたしますと、UCI(世界自転車競技連合)がプロロードレース界の制度改革を進める上で重要な位置付けとしてトップに置いている「世界最高峰のロードレースシリーズ戦」となります。

元々、プロのロードレース界というのは、「レース」と「チーム」が個別に出場契約などを結び、独立した形で各レースが開催されてきた経緯があります。そして、その集合体として結果論的に「レースカレンダー=シーズン」が形成されてきました。

UCIが直接主催しているビッグレースというのは「世界選手権ロードレース」くらいであり、他のレースについては、UCIが後出し的に創った枠組みの中で開催されています。

当然、各レース主催者には「自分たちのレースは自分たちが創った」という自負が存在しており、UCIが現在の「ワールドツアー」をここまで築きあげる過程の中では、多くの確執が生まれてきました。

但し、結論から言うと、「レースとチームの個別契約の集合体」では、自ずと規模的な限界が生まれ、また、利益構造的に業界全体での「仲間意識=責任感」などが希薄になり、「薬物問題」や「各種不正」などが横行しやすい環境に陥りやすくなります。

ですので、UCIが進めている構造改革というのは、大枠でみると正しい方向性を持っているように思えます。

問題はその進め方にあります。

100年を超える歴史があり、既にその中で様々な利益構造(個人・団体の既得権益を含む)を持つ世界の中で、ただ単に正論を振りかざしただけでは、「古株」からの攻撃を受けて撤退することになるのは目に見えています。

ここ数年は良好な関係を築いていたようにみえた「UCI」と「ASO(ツール・ド・フランス主催者)」ですが、ここへ来て再び関係が悪化しはじめてしまいました。

ここでは細かくは省略しますが、要するに「UCIがASOにとって気に食わないやり方で改革を進めている」ことが問題の根底にあるのだと思います。

「本質的には正しい」ようだが、「やり方が間違っている」。

どの時代にも、どの世界にも、どの組織にも、いつでもどこでも起こっている類の問題です。

いつの時代も「既得権益にすがる人間の抵抗」というのは強烈であり、生半可なやり方ではむしろ貝を強く閉ざされる結果に陥ってしまいます。

恐らく、本当の改革を実行する時というのは、「短期間」で「強烈な方法」を用い、改革実行者自身も一緒に吹っ飛ぶくらいの覚悟で取り組む必要があるのでしょう。

果たして、いまのUCIにそれだけの覚悟あるか?ということです。

現在、27戦ある「UCIワールドツアー」ですが、2017年から「×」印のASO傘下の7レースが離脱する予定となっています。

Santos Tour Down Under(Australia)
×Paris-Nice(France)
Tirreno-Adriatico(Italy)
Milano-Sanremo(Italy)
Volta Ciclista a Catalunya(Spain)
E3 Harelbeke(Belgium)
Gent-Wevelgem(Belgium)
Ronde van Vlaanderen(Belgium)
Vuelta Ciclista al Pais Vasco(Spain)
×Paris-Roubaix(France)
Amstel Gold Race(Netherlands)
×La Flèche Wallonne(Belgium)
×Liège-Bastogne-Liège(Belgium)
Tour de Romandie(Switzerland)
Giro d'Italia(Italy)
×Critérium du Dauphiné(France)
Tour de Suisse(Switzerland)
×Tour de France(France)
Tour de Pologne(Poland)
Clasica Ciclista San Sebastian(Spain)
×Vuelta a España(Spain)
Cyclassics Hamburg(Germany)
Bretagne Classic-Ouest-France(France)
Grand Prix Cycliste de Québec(Canada)
Grand Prix Cycliste de Montréal(Canada)
Eneco Tour(Benelux)
Il Lombardia(Italy)

「パリ~ルーベ」、「ツール・ド・フランス」、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」を含むビッグレースが離脱することは、事実上、「UCIワールドツアー」の崩壊を意味するといっても過言ではありません。

また、「UCIワールドツアー」の枠組みのなかで、安定したスポンサー獲得を進めている各チームにとっても、「ツール・ド・フランス」への出場が担保されなくなることは、文字通り死活問題となっていくことでしょう。

ブログタイトルの「ワールドツアーへの道」というのが、ネガティブな「道」になってしまわないことを願います。

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