2023年UCIワールドチーム正式発表
先日、UCI(国際自転車競技連合)から2023年のUCIワールドチーム(ファーストディヴィジョン)18チームが正式に発表されました。
今回は、過去3シーズンのポイント累計によるチームランキング制度が採用され、UCIワールドツアーがスタートして以来初めてとなる「機械的」なディヴィジョン間のチーム入れ替え制度が発動しました。
18チームのラインナップはすでに報道されていた内容と変わりなく波乱などはありませんでしたが、長らくトップチームとして活躍してきたベルギーのロットの降格が正式に決まるなど、全体としては一定のインパクトがあったと感じています。
歴史を振り返ってみると、長らく自転車ロードレースの世界というのは「レース主催者」と「チーム(有名選手)」の個別契約がベースとなって一つ一つのレースが点在しており、それらをUCIが各ツアー制度やポイントランキングなどをつかってなんとか後付け的にまとめてきた実情があります。
実社会に置き換えてみると、「都市計画」などがなかった地域に人がやってきて住みはじめ、その後商店なども増え、必要に応じて場当たり的なインフラが整備され、気がつけばそれなりの大きさになった街に自治体(UCI)がつくられたものの、その中心にいるのは相変わらず大地主(ツール・ド・フランス)のままで、そこの住人(主催者やツールで活躍した選手やチーム)も変わらず街(自転車ロードレース界)の実権を握っているという感じでした。
そういった「ツール・ド・フランス偏重」の構造を是正する狙いなのが、現在のUCIワールドツアー制度であり、言うなれば「ツール・ド・フランス」という大地主をそのままに、あとから大規模な都市計画を進めているイメージとなります。
そして、今回のランキング制度によるUCIワールドチームの入れ替え実施というのも一定の影響力を持つ新たな取り組みといえます。ツール・ド・フランスのステージ優勝のポイントが、実際の価値とはかけ離れた不当に低い数字に設定してあるのも、もしかすると意図的な戦略だったのかもしれません。
都市計画というのは、元から住んでいる住人の方々から必ず一定の反発を受けることが殆どです。しかし時間が経ってみると、街全体がキレイになり、利便性が向上し、治安もよくなり、住みやすい街に生まれ変わるケースは決して少なくないようにも感じます。
もちろん一長一短はありますが、物事を複数の時間軸でみることの大切さを改めて実感いたしました。