UCIプロチームの消滅
昨日、チーム存続の危機に立たされていたフランス籍のUCIプロチーム「B&Bホテルズ KTM」が、活動継続を断念したというニュースが流れてきました。
今後、急転直下でなにか大きな話しがまとまらない限り、今月いっぱいで5年の歴史に一旦幕を閉じることになります。
この時期のチーム消滅判断により、来季の契約を済ませていた20名以上の選手と、同数以上のチームスタッフが路頭に迷う形となります。
不安定さと隣り合わせのプロスポーツ界なので仕方がないといえば仕方がないのですが、それでもこの様な形でチームがあっという間に消滅することはできれば避けたいところではあります。
正直、3年連続でツール・ド・フランスに出場中だったフランスチームが生き残れなかったことには大きな衝撃を受けています…。なぜなら露出効果が最も高いツール・ド・フランスに出場できていればスポンサー獲得は比較的容易だと思っていたからです。
今回、この様な残念な結果となってしまったのは、チームの「拡大戦略(年間予算10億円弱を20億円へ拡大?)」がうまくいかなかったらだとGMのジェローム・ピノーは説明しました。
ここでは細かい内容は省略いたしますが、事業の拡大戦略(挑戦)失敗によりすべてを失うというのは、なんとも切ない感じがいたします…。
自分自身、これまで「現状維持は衰退である」という思いを持っていろいろなことに取り組んできたので、「拡大戦略」や「新規事業」に対してマイナスのイメージは一切持っていません。
しかし、年齢を重ねるにつれて、望むと望まざるとにかかわらず「歴史あるものをマネージメントする(守る)立場」に就く機会が徐々に増えてきます。
恐らく、「新しいことをやりたいひと」や「継続することが苦手なひと」は、こういったポジションに就いても、自分の意思、もしくは外的要因でそこから外れてしまうことが多い様に感じます。イコールいつまでもチャレンジャー(自由)の立ち位置でいられます。
歴史あるものを引き継ぎ、それらを継続しながら拡大戦略を続けていくためには、絶対にやってくる「嵐」に遭遇した時に、一旦後退してでも生き延びる強かさ(戦略)が必要になります。そして次のチャンスを狙っていく我慢強さも求められます。
「挑戦してダメならすぐ辞めてつぎへ」を繰り返せるベンチャー的な立ち位置のひとたちから見ればまどろっこしいかもしれませんが、なにかを継続していくというミッションを一度受け入れてしまうと、人生の多くの時間をそこに対して注いでいかなくてはならなくなります(自分の時間は有限なので何個も何個も同時に背負うことはできません)。
壁にぶち当たったときに、一時停止か、方向転換か、後退か、それとも思い切ってリセットか…。人生とは決断の連続だと改めて感じる50歳の冬です。