ツール・ド・フランスの魅力と価値
現在、フランスで開催されている「第109回 ツール・ド・フランス」は、今夜いよいよピレネーでの山岳最終決戦となる「超級オタカムフィニッシュ(第17ステージ)」を迎えます。
2年連続で「ツール・ド・フランス」を制している若き王者タデイ・ポガチャル(23歳/スロベニア)は2分18秒遅れの総合2位につけているものの、総合首位(マイヨジョーヌ)に立つヨナス・ヴィンゲゴー(25歳/デンマーク)が危なげないクライミングをみせていることもあり、ポガチャルの逆転総合3連覇は黄色信号か?という見方が徐々に増えてきています。
果たしてこのあとどの様な結末が待っているのか?今年大一番のレースに世界中のファンが大注目しています!
さて、改めて(今更ながら)ではありますが、誰しもが世界最大の自転車レースと認める「ツール・ド・フランス」という偉大なレースについて、その魅力と価値というのはいったいどこから派生しているのか簡単に考察してみました。
①一般的な解釈
◯自転車レースの代名詞だから(歴史が長く文化となっている)
◯世界最大の観光大国であるフランス各地(特に最終日パリ)が生み出す圧倒的な魅力(映像力)があるから
◯経済的な価値が高いから(世界の自転車レースの総露出量の80%以上をツール単体で生み出している)
伝統と地域的な魅力(開催時期的にも有利)が圧倒的な露出量を生み出し、結果として様々な付加価値を創出しているというわけです。
一方、
②個人的な解釈
◯選手やチームが文字通り人生を懸けて本気で戦っているから(勝ったり負けたりした時の選手やチーム関係者の喜怒哀楽が圧倒的に大きい)
①と②は「卵が先か鶏が先か」的な関係になっていますが、今回はどっちが先にくるか?の議論ではありません。
以前(自分が選手や監督だった時)からずっと感じていることではありますが、プレイヤーが本気であればあるほど、そのゲーム(レース)の魅力や価値というのは必然的に大きくなっていくのだと思っています。
更に、一定の時間を経て、その本気さが競技力の向上に寄与したりもします。
逆に言うと、選手やチーム関係者などが見下しているレースというのは、もうその時点で盛り上がる要素の大半を失ってしまっている様に感じます。
よく、レースを厳しく(面白く)するためには、「距離を伸ばせ」とか「コースをキツくしろ」など、外的要因による解決方法を耳にします。
もちろん、それらによる効果は一定程度あるかとは思いますが、しかし、レースを本質的に厳しく(面白く)する最大の要因というのは、やはり選手たちの「覚悟」と「本気度」だと思います。
今年の「ツール・ド・フランス」を観ていて改めて感じることは、まさにその選手たちの覚悟と本気度が最大化されているレースだという紛れもない事実です。
世界最高峰の選手たちがみせる本気の歓喜や涙に触れると、心を揺さぶられ、選手を、チームを、そしてレース自体を心から応援したくなるものです。
「ツール・ド・フランス」の偉大さに敬意を表しつつ、自転車ロードレース界の頂上決戦をしっかりと愉しみたいと思います。