急速に変化する世の中
「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が大きな盛り上がりをみせています。
残念ながら日本代表は敗れてしまいましたが、それでも世界の強豪国を相手に準々決勝まで勝ち進んだことで日本全体が熱狂し、経済効果も含めてすでに大きな成功を収めています。
これだけの成功と注目度を獲得できたわけですから、普通に考えれば、このあとの「ジャパンラグビートップリーグ」には様々な相乗効果がもたらされるに違いありません。
「スター選手(チーム)が誕生すれば、その後、そのスポーツは大きく繁栄する」と信じているひとは多く、大きな成功を手にしたラグビー界の今後の更なる成功に注目していきたいと思います。
さて、そんな大きな感動と共に、自転車競技関係者としてはある種の危機感も感じたこの度の「ラグビーワールドカップ」でしたが、先日、スポーツとは全く関係のない「AI(人工知能=自動化)」に関する記事を目にする機会がありました。
私自身、以前あるJリーグ関係者の方から、「そのスポーツの未来を考えた場合、100年後にそのスポーツがどうなっているかをイメージする必要がある」というアドバイスをいただいてから、ことあるごとに「100年後の自転車」というものを考えるクセがついてしまっています。
同時に、世の中の仕組みを急速かつ大きく変えるとされている「AI」についてもずっと興味を持ち続けています。
「AI」の話題が世の中に広まりはじめた当初というのは、「AIが人間の仕事を奪っていく」という、どちらかというと絶望的な内容の記事が殆どでしたが、最近では、「AIが単純労働を担当してくれることで新しい世界が構築され、今は存在していない新たな人間の雇用が創出される」という発展性のある記事が目につくようになってきました。
そして、先日目にした記事には以下の様な内容が書かれていました。
AIが得意とするのは、「幼稚園の先生よりも大学教授」、「看護師よりも外科医」、「美容師よりもファッションデザイナー」だというのです。共感力や対人能力というものは自動化が難しいため、現在は難易度が高いとされている人間の仕事の方がむしろ先に自動化されていくという考え方です(恐らくAIが手本とするための各分野のトップクラスの人間の価値は更に向上する気がしますが…)。
もちろん一つの意見であり、本当にそうなるとは限りませんが、これらが暗示していることは、今後、世の中にある「価値」や「需要」が大きく変化し、今では想像もつかないような「逆転現象」が起こるかもしれないということです。
ということは、スポーツの世界でも現在の価値や需要が大きく変化する可能性が十分にあります。果たして自転車ロードレースは「AI化」の先にどうなっていくのでしょうか。
但し、今後どれだけ「AI化」が進んだとしても、主導権を機械に奪われない限り、結局は人間がどの様に感じどの様に行動するかがカギになります。
人間の考え方は千差万別です。
物事を考える際の「時間軸(来年なのか100年後を見据えるのか)」、「立ち位置(自分基準なのか人類全体として捉えるか)」、「感情(否定ベースなのか感謝ベースなのか)」など、人間は様々な価値観により絶妙なバランスを創り出しています。
多様性は人間社会を構築するために最も大切な要素であり、皆が同じ考え方になった瞬間に、人間社会は絶滅に向かっていってしまうでしょう。
「多様性により絶妙なバランスを創り出している人間という生き物」、「その人間が創り出す超合理的なAI」、そして、「そのバランスを構築していく時間」という要素を常に意識しながら、私自身は「感謝」「リスペクト」という人間らしい感情を大切にしながら前進を続けていきたいと思います。