スポーツの未来
私自身が「自転車ロードレース」の「国内リーグ構想(国内にしっかりとしたプロの基盤を創る=それが世界に通じている)」を本気で考えはじめたのは今から20年近く前になります。
それから監督(チーム運営)として12年、その後現在のレース主催者の仕事に就くようになってから5年の歳月が経ちました。15年間の選手人生を終え、「第2の自転車ロードレース人生」を歩み出して今年で18年目を迎えたわけです。合計すると32年間、その間、1年たりともこの世界を離れたことはありません。
また、その32年間のなかで在籍した団体の数は決して少なく、「日本のロードレース界」という観点でみれば、本当に様々な立場で多くのものを見てきました。
誰よりもわかっていて更に経験値に於いても最も先行しているとは思っていませんが、それでも国内の自転車競技に於ける様々な変化をリアルタイムで見続けてきたのは紛れもない事実です。
そして、当時は夢物語だったようなことが、現在いくつかは現実になっています。
もちろん、自分自身が果たした役割などそのうちのほんの一握りに過ぎませんし、多くの同志たちの存在が常にあったからこそであるのは言うまでもありません(ずっと残り続けているひとの数は決して多くはありませんが…)。
そんな中で、最近、「ツアー・オブ・ジャパン」だけでなく、他のいろいろな取り組みを通じて考えさせられることというのは、「スポーツ全体の未来」についてです。
ずっと「自転車界」の中にいた身としては、つい自転車界を通したメガネで物事をみてしまいがちですが、スポーツ全体で物事を俯瞰してみると、そこにはまた違った世界がみえてきたりもします。
一般的に、東京五輪が終わると日本国内のスポーツを取り巻く環境は表面的には冷え込みはじめることが予想されていますが、そういった現象は、2020年を前にしてすでにあちらこちらで兆しが見えはじめています。
「東京五輪が終わったあとに真価が問われる」
これはだいぶ前から覚悟してきた言葉ですが、意外にもはやくその言葉の重みを実感しはじめています。
「自転車ロードレース」がスポーツである以上、我々だけがスポーツ全体が置かれている環境と別枠で理想を追求できるわけがありません。
「良い流れの時こそ気を引き締めて次の展開を考える」
スポーツの未来を意識しつつ、広い視野を持って「ツアー・オブ・ジャパン」を守っていかなければなりません。