地域密着型ステージのパイオニア
先日、今年で3回目の開催となる「ツアー・オブ・ジャパン 中部3県合同会議」に出席してきました。
1回目の会場となったのは「ツアー・オブ・ジャパン いなべステージ」の国内チーム宿舎となっている「青川峡キャンピングパーク」、2回目は「ツアー・オブ・ジャパン 美濃ステージ」の国内チーム宿舎として使用されている「料理旅館いずみ荘」、そして3回目の今回は「ツアー・オブ・ジャパン」の地域密着型ステージのパイオニア的存在である「南信州ステージ」の運営母体でもある「飯田市役所」にて開催されました。
現在、「ツアー・オブ・ジャパン」は大会フィロソフィーとして「地域貢献」を前面に押し出して大会運営を進めていますが、そのモデルステージとなっているのが今年で12回目の開催を迎えた「南信州ステージ」となっています。
「地域が地域を盛り上げるための手段として自転車レースを開催する」というのは、現在ではある意味で標準的な考え方であり、実際、全国各地で自転車レースや自転車イベントをつかった「街興し」が盛んに行われています。
しかし、「南信州ステージ」がスタートした2005年当時は、自転車レースを開催したいという意志を持っていたのは「自転車界」側であり、「自転車界が地域にお願いをして道路を使わせてもらう」という流れが殆どだったと思います。
それが、「飯田市様側が主体となってツアー・オブ・ジャパンを誘致する」というこれまでになかった新たな動きが生まれたことで、「ツアー・オブ・ジャパン」の開催スタイルにも大きな変化が生まれたわけです。
現在、「ツアー・オブ・ジャパン」の各ステージのなかで、自治体(地元)などがそのステージの立ち上げのきっかけをつくったケースというのは、「京都ステージ」、「いなべステージ」、「美濃ステージ」、「南信州ステージ」の4ステージとなっています。
一方、「堺ステージ」、「伊豆ステージ」、「東京ステージ」は「ツアー・オブ・ジャパン」の前身大会である「国際サイクルロードレース」からの流れで継続開催されているステージであり、「富士山ステージ」も大会事務局を務める「自転車普及協会」側が開催のきっかけをつくったステージとなります。
現在では、8ステージすべてに於いて各ステージの地元自治体様などが「ツアー・オブ・ジャパン」開催を力強くサポートしてくださっていますが、それでも、自治体様側の意志でスタートしたステージと、自転車界側の意志でスタートしたステージの間には、やはり基本的な開催構造の違いというのが存在しています。
飯田市様が「ツアー・オブ・ジャパン」開催に手を挙げた当時というのは、「自転車レース開催で街興し」という機運は世の中に殆ど存在していませんでした。
それが現在では全国の自治体の多くがこの選択肢を意識するようになっており、飯田市様の先見性の高さはもっと評価されるべきだと思います。
これからも「地域のための自転車レース」として前進を続けていきたいと思います。