TOJ ホームステージ
自転車ロードレースは、他のスポーツ(特にスタジアムスポーツ)に比べて、「ホームゲーム」という概念が薄いスポーツといえます。
自転車ロードレースファンに、「どのチームを応援していますか?」、「誰のファンですか?」と質問すると、すぐに、贔屓のチーム名や選手の名前を聞くことはできます。
しかし、「チーム」というよりかは、どちらかとういと「人」につくことが多く、更に、「地域」というキーワードとは一定の距離があるのが実情です。
ですので、ある有力選手が移籍すると、ファンも一緒に「応援用のチームウェア」を着替えて移動してしまうケースというのが目立ちます。
それでも、海外のプロチームのなかには「地域的な想い」をベース持つチームというのもいくつかあります。
また、近年は国内でも地域密着型チームの台頭により、贔屓の地元チームを応援するという文化が急速に育ちつつあります。
私がかつて監督を務めていた「宇都宮ブリッツェン」は、宇都宮という地域で、地元の人たちに愛され応援されるチームへと急速に成長してきました。
宇都宮ブリッツェンの特徴は、「宇都宮」という名がついた「おらが街」のスポーツチーム(宇都宮の名を冠したプロのスポーツチームは宇都宮ブリッツェンのみ)を応援するというモチベーションが根底にあるため、選手が入れ替わってもファンの数が大きく減ることはなく、また、他チームへ移籍していった選手たちを応援するという温かさも持ち合わせています。
そこで、「ツアー・オブ・ジャパン」では、ステージごとに独自の「ホームチーム」を設定し、地元の人たちが「想いを込めて応援する」対象をレースサイドから提案することになりました。
また、「ホームチーム」に指定されたチームは、レース開催期間外にも「ホームステージ」を訪れ、例えば、子どもたちとの交流イベント参加や、対象地域内での強化合宿の実施など、「本物の交流=地元チーム」という価値観を育てていき、「本気で応援する」「本気で応援される」という文化を創りあげることを目標にしています。
宇都宮で起きているポジティブな現象が、「ツアー・オブ・ジャパン」の各ステージでも広がりをみせることを目指していきます。