本場の市民レース
先週末は、秋田県由利本荘市で開催された 『サイクルロードレース in 由利本荘』 の会場へ行って参りました。
『エキスパート・ミディアム・ノービス・ビギナー・レディース・小学生チャレンジ』 の6クラスが設定されている地元自治体主導型のレースであり、東北在住の方々を中心とした総参加者数約250名の中規模の大会です。
私自身、最近はどうしても大規模なレース運営に関心がいきがちでしたが、由利本荘市でのレース会場に着いて最初に感じたことは、『懐かしい』 という感覚でした。
私の本格的なロードレースのはじまりは本場フランスの街のレースであり、初めてフランスへ渡った1989年(当時17歳)には、ジュニアとして数多くのレースに出場しまくっていました。
ちなみにフランスでは、ほぼ全ての街にクラブチームがあり、そのクラブチームが年に数回レースを開催しています。
日本での感覚に置き換えますと、各市町村に大小様々なクラブチームが存在していて、そのクラブチームが必ずいずれかのカテゴリーのレースを最低でも年1回以上は開催していることになります。
こうなれば、そんなに遠くへ遠征しなくても、週2~3回はレースに出場することが可能になります。
実際フランスでは、ロードレースの盛んな地域に住んでいると、クルマを持っていなくても、自走で行ける範囲で週1回以上は必ず自分が出場できるレースが開催されています。
クルマを持っていれば、例えば、水・土・日の週3回レース出場が可能になります。
こういった環境下にいると、もはや練習は 『2列でお喋りしながら楽しく走る』 ものになり(フランスでは自転車の並列で警察に止められることはなかった。日本では並列走行は禁止されています)、才能のある子どもはレースを走りながら日々成長してき、あっと言う間にフランス国内の 『強化ピラミッド』 を駆け上がっていくことになるのです。
むしろ、レベルが上がっていくと出場できるレースの数が少なくなり、セミプロチームの様な大規模なクラブチーム(プロ予備軍)に所属して、アマチュアの国内シリーズ戦を戦うためにフランス全土を遠征するような環境に身を置くことになります。
ですので、チーム構成だけがピラミッド状になっているのではなく、レースそのものが底辺から頂点となる 『ツール・ド・フランス』 へ向かって、正常なピラミッドを形成しているのです。
現在、国内最高峰のステージレースといわれている 『ツアー・オブ・ジャパン』 の運営に関わっていますが、やはり将来的にはこのレースに向かうための正常なピラミッドを国内に構築していきたいと強く感じています。
そのためには、今回訪れた由利本荘市でのレースの様な、コンパクトな大会が週末に日本全国いたるところで開催されていなければなりません。
まだまだ学ばなくてはならないこと、取り組まなければいけないことが、山のように残っているといえます。