世界最高峰のステージレース開幕
世界最高峰の自転車ロードレース 『ツール・ド・フランス』 が開幕しています。
最高の選手、最高のチーム、最高のモチベーション、最多のメディア、最多のお客さん、そして、最高の舞台。
全てが最高峰のレースであり、この 『ツール・ド・フランス』 のみで、各UCIワールドチームは年間の露出量の80%を獲得してしまうという、自転車ロードレース界では 『別格』 的存在といえます。
『ツアー・オブ・ジャパン』 の仕事をはじめたこともあり、今年で15年目となったテレビ解説業にも若干変化が現れてきました。
解説業をはじめた時はまだ現役選手だったこともあり発言内容が完全に選手よりでしたが、その後監督となってチーム側の視点も交えての解説へと変化していき、現在はレース主催者としての見方が加わりました。
もう一つ加えるならば、自分には 『観戦歴30年のマニアックなレースファン』 という要素もあります…
色々な視点でレースを見れるようになったのはとても素晴らしいことではあるのですが、一方で、選手、チーム、主催者、そしてレースファンという、それぞれ価値基準が大きく異なる立場の視点を得てしまったことで、ある種の苦悩も生まれてきています。
昨日の第3ステージで大きな落車事故があった際に、主催者が一時的にレースを止めるシーンがありましたが、瞬間的に全ての立場の感情が理解できてしまったので、その結果、うまく言葉がでてこないという感覚を覚えました。
当然なのかもしれませんが、それぞれの立場によって物事の受け取り方は相反することが多く、選手目線での判断、監督目線での判断、主催者目線で判断、ファン目線での判断と、立場が変わると選択する表現も大きく変わってきてしまいます。
但し、やはり今は 『ツアー・オブ・ジャパン』 の運営業務に一年の多くの時間と情熱を割いているので、『ツール・ド・フランス』 の中継中にも、レース開催に関する要素に目がいってしまいます。
そこで改めて感じることは、このレースに近づこうとすることが、いかに大変で無謀かという事実となっていまします…
単に規模が大きいので敵わない、ということももちろんありますが、それ以上に文化の違い、というどうしようもなく分厚い壁の存在に立ち止まってしまいます。
それでも歩みを進めなければ変化は起こりません。
世界最高峰のレースから様々なものを吸収していかなくてはなりません。