関東で初開催となった全日本選手権
先々週末、及び、先週末に、国内の頂上決戦となる 『全日本選手権ロードレース』 が栃木県内(大田原市=タイムトライアル/那須町・那須塩原市=ロードレース)で開催されました。
意外なことに、今回の大会は関東で初めて開催される全日本選手権となります。
主催者発表では、27日(土)の若年層のレースで8,000人、28日(日)のエリートのレースで27,000人の観客が会場に集まり、“観客が少ないことで有名” だった同大会に良い意味で一石を投じる形となりました。
栃木県は、世界に誇る国内最大のロードレース 『ジャパンカップ(1-H.C)』 を有し、今年、JBCFのレース(宇都宮クリテリウム)としては初となる地上波でのテレビ生中継を実施し、県内に二つの地域密着型プロチーム(宇都宮ブリッツェン/那須ブラーゼン)を持つ、ある意味で日本国内に於いては “異次元の自転車文化創り” が進められている特殊な地域といえます。
但し、地元の関係者たちからすれば、“当たり前のことをやっているだけ” という感覚で、物事を粛々と進めているのかもしれません。
“当たり前のこと” というのは、彼らは他のプロスポーツ界と比較して物事を進めているため、『会場に人を集めることは当たり前』、『集まった観客の皆さんをもてなすのは当たり前』、『街興しのためにイベントを開催しているのでマーケティングなどに力を入れるのは当たり前』 という、自虐的な表現となってしまいますが “自転車界があまりにも遅れている” からこそ、栃木県が進んでいるように映ってしまうという “逆説的現象” が起こっているようにも感じます。
ちなみに、トライアスロンの全日本選手権は毎年 “東京・お台場” で開催されています。
自転車ロードレースはコース設定の関係上ある程度郊外でレースを開催する必要はあると思いますが、それでも “観客を集める” という要素が完全に抜け落ちた形で会場を選定しているレースは決して少なくありません。
レース会場に行くと、『コースの距離や難易度はどうか?』、『選手たちの積極性はどうか?』、『誰が一番強いのか?』 など、非常に近視眼的な会話が現場の大半を占めていることに気付かされます。
それらの会話一つ一つは何も間違ってはいませんが、『木を見て森を見ず』 ということわざが示す通り、本来考えなければならないレベルの議論が殆どなされていないことに危機感を覚えます。
『社会的、もしくは経済的メリットが薄い世界に有能な人材は集まらない』 という事実を共有していかなくてはなりません。